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整骨院を開業するまでの流れを手順ごとに解説!ポイントや必要な届出を紹介

整骨院を開業するまでの流れを手順ごとに解説!ポイントや必要な届出を紹介

2025年05月08日

国家資格である柔道整復師の資格を取得している場合、整骨院を開業したいと考える方も多いのではないでしょうか。

しかし漠然と行動しても、必要な準備や流れを理解していないと思わぬトラブルに発展します。

さまざまな準備、届出など必要ですが理解しておくことで不安なく開業に進めます。

今回は、整骨院を開業するまでの流れを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

整骨院を開業するために必要な要件

柔道整復師の資格を持っているだけで、すぐに開業できるわけではありません。

柔道整復施術療養費における受領委任の取り扱いを管理する「施術管理者」にならなくてはいけないです。

2つの要件を満たす必要があるので、ご紹介します。

3年の実務経験

整骨院を開業するためには、3年間の実務経験が必要です。

以前は柔道整復師の資格があれば開業できましたが、2018年4月以降定めが変わりました。

必要な実務経験の期間は、届出の時期によって異なります。

2022年4月〜2024年3月であれば2年間、2024年4月以降は3年間の実務経験が必要です。

整骨院を開業する人のほとんどは、柔道整復師会のような同業者団体に加盟しています。

団体では開業支援なども行っているので、自分が開業できるかどうか不安な人は開業前に団体へ問い合わせてみても良いでしょう。

施術管理者講習の受講

施術管理者になるためには、2日間の講習を受講する必要があります。

厚生労働省が登録研修機関として登録している団体が研修を実施しているため、調べて参加しましょう。

しっかりとした研修プログラムが用意されているので、開業に関しての勉強ができます。

1時間に10分程度の休憩時間を設けられていますが、両日8時間程度の講習です。

費用も発生するため、スケジュールをチェックし、参加しましょう。

マーケティングや経営の勉強

整骨院を開業する際、ただ店舗を開くだけでは経営を軌道にのせにくいです。

そのため、開業前にマーケティングや経営について勉強しておくことが大切といえます。

医療者としての技術・知識も大事ですが、仕事を継続させるためにも経営者としてビジネススキルが必要です。

経営をする上で必要な知識を習得しておくと、不安なく開業ができます。

また、多くの患者様に整骨院を知ってもらうためにマーケティング力を身につけておくことも大切です。

多くの書籍があるので、独学で勉強することは可能です。

近年、整骨院を開業する人も増えているため、経営・開業セミナーが数多く実施されています。

時間と予算に余裕がある場合は、参加するのも1つの方法です。

整骨院を開業する流れ

整骨院を開業する流れは、以下のとおりです。

  1. 事業計画を立てる
  2. 資金計画を立てる
  3. 開業するエリアや物件を選定
  4. 整骨院のコンセプトの設計
  5. 外装、内装の工事を行う
  6. 医療機器、備品の選定
  7. 整骨院開業申請手続き
  8. 人材採用やスタッフ教育を行う
  9. 広告活動を実施

多くのことをしなくてはいけないと感じるかもしれませんが、後悔なく開業するためには必須の流れなのでよく理解しておきましょう。

流れに沿って解説します。

事業計画を立てる

整骨院を開業するにあたって、事業計画は必須です。

漠然とした感覚で開業しても、実際にどの程度資金が必要なのか売上の見込みや必要経費などの予想を立てられません。

事業計画は、頭の中にある計画を具体的に形として残すことで自分の意識を整理できますし、資金調達をする際にも使用します。

手元のお金で始める人はなかなかいないため、融資先に提出することを意識して作ってください。

まずは整骨院開業に向けて具体的な事業計画を立てましょう。

事業計画に必要な項目は、以下のとおりです。

  • 事業のビジョンや目的
  • 経営者の経歴
  • サービスの強みや特徴
  • 施術内容
  • ターゲット層
  • サービスの提供先や仕入れ先
  • 現在の借入状況
  • 必要な資金

事業計画を作る上で、経営者がどのような経歴を持っているのかは、事業を成功できる証拠として示せるため大切です。

そのため、事業に関係ない過去を深掘りする必要はありません。

開業したい目的や今後のビジョンについて明確にすることで、事業に対する情熱をアピールできるため、資金調達の際に重要なポイントです。

そのほかの項目も具体的な金額、数字を入れておくとわかりやすいため、必ず具体性を持たせましょう。

資金計画を立てる

整骨院を開業する場合、平均的に1,000万円程度の資金が必要だと考えられています。

開業するにあたって必要なものや費用を計算し、実際にいくら資金が必要で自己資金でいくらカバーできそうなのかも確認してください。

一般的に全額自己資金というケースは少ないので、事業計画と資金計画を立てた上で、日本政策金融公庫などに融資の相談をしましょう。

資金計画を立てるのが難しいと困った場合は商工会議所に相談すると、作成に関してのアドバイスを受けられます。

開業するエリアや物件を選定

整骨院を成功させるためには、どのエリアに店舗を置くのかが重要です。

ターゲット層の利便性を考慮し、駅近物件にするのか住宅街にするのかエリアを選定してください。

エリアによって訪れる客層は違うため、自分がターゲットにしている層が来やすいエリアを選びましょう。

また、物件の広さや使いやすさ、駐車場の有無なども患者様が利用しやすいと思えるっかどうかのポイントになります。

整骨院のコンセプトの設計

整骨院のコンセプトを設計するのは、競合と被らないためもありますが、競合に勝てるほどの魅力を出すよう考えるためです。

数多くある整骨院の中から「また来たい」と思ってもらえるようなコンセプトを設計しましょう。

店舗運営を優位に進められるよう、イチオシの自費メニューを作るなど競合とは違う部分を見せることが大事です。

今後整骨院での療養費が減少し、保険申請できる範囲が狭くなることも考えられます。

そのため保険適用の施術だけでは、整骨院の運営が難しい可能性があるため、保険に頼らない自費メニューはしっかり検討しましょう。

外装、内装の工事を行う

外装、内装の工事で重要なレイアウト設計は、法律を遵守することがポイントです。

柔道整復師法施行規則の第18条・第19条を基本に、以下を意識してください。

  • 6.6㎡以上の専用施術室を有する
  • 3.3㎡以上の待合室を有する
  • 施術室は、室面積の1/7以上に相当する部分を外気に開放し得ること(代わるべき適当な換気装置がある場合は別)
  • 施術に用いる器具、手指などの消毒設備を有する
  • 常に清潔に保つ
  • 採光、照明および換気を充分にすること

最低限度のルールを守り、患者様のプライバシーに配慮しましょう。

カーテンで仕切る、個室を準備するなどは競合との差別化に効果的です。

また女性がターゲットの場合、専用の着替えスペースやキッズスペースなどを設置するのも良いでしょう。

医療機器、備品の選定

医療機器や備品の選定を進める際、医療機器に関しては高額になりやすいのでリース契約がほとんどです。

初期費用を抑えられる点はメリットですが、途中解約できない点はデメリットといえます。

備品はタオル類の他にも整骨院ごとに必要なものが違うため、早めにリストアップして準備してください。

整骨院開業申請手続き

整骨院開業申請手続きは、1つの手続きではなく複数必要なので時間と手間がかかります。

できる限り早めに準備をして、無駄なく行動しましょう。

整骨院は保険を取り扱う業種なので、漏れがあると開業までに期間が空いてしまうため、不明点は各所に問い合わせを行うと良いです。

人材採用やスタッフ教育を行う

最初のうちは経営者1人で運営するケースも多いですが、規模の関係ですぐに人材がほしいという場合は、募集をかけていきましょう。

求人サイトを利用するのが簡単ですが、自身が卒業した専門学校や大学に開業の件を伝えて卒業生の就職先として選んでもらうケースも多いです。

スタッフが不安なく勤務できるように、きちんと院内マニュアルを作成し、時間があれば研修も行いましょう。

広告活動を実施

開業したことを知ってもらうために、広告活動は重要です。

チラシやDMはもちろん、広い範囲で知ってもらえるホームページの作成、SNSの運用も効果的といえます。

自分でホームページを作るのは難しいと感じる方は、代行業者に依頼するとマーケティング分析も併せて行ってもらえます。

SNSは更新頻度も重要なので、スキマ時間に更新するようにしましょう。

整骨院を開業するために必要な届出

整骨院を開業するためには、複数の届出が必要です。

1つでも漏れてしまうと、スムーズに開業ができなくなるので、把握しておきましょう。

施術所開設届

整骨院を開業後、10日以内に以下の必要書類と合わせて管轄の保健所に提出してください。

  • 開設届
  • 整骨院の平面図
  • 整骨院の周辺図
  • 柔道整復師免許証の原本と写し
  • 本人確認書類

整骨院の物件が賃貸の場合、店舗賃貸契約書の写しが必要な可能性があります。

また本人確認書類は法人で営業する場合、登記簿謄本の写しが必要です。

必要書類に関しては、自治体で異なるので事前の問い合わせを行ってください。

受領委任の取り扱いに関わる申し出

保険請求を行うためには、受領委任の取り扱いに関わる申し出を提出する必要があります。

開設届を提出した後、管轄の地方厚生局へ以下の書類を提出し、受領委任取り扱いの届出を受領してもらいましょう。

  • 契約書
  • 柔道整復施術療養費の受領委任の取り扱いに係る届出
  • 実務経験機関証明書
  • 施術管理者研修修了証の写し
  • 保健所開設届の写し
  • 施術管理者の柔道整復師免許証の写し

保健所開設届の写しは、必ず受理印を提出してください。

受領委任取り扱いの届出が受理された日から保険を取り扱えるようになるので、不備がないように注意しましょう。

共済番号の取得と税務署への届出

国家・地方公務員や防衛省関係の保険を取り扱うためには、共済番号の取得が必要です。

対象となる管轄機関に必要書類を揃えて申請してください。

また個人事業主として開業する場合は、管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。

事業の開始事実があった日から1ヶ月以内に提出するよう定められているので、忘れてはいけません。

労災保険に関わる申し出

整骨院で労災保険を取り扱うためには、管轄の都道府県労働局に以下の書類を提出し、指定を受けましょう。

  • 申出書
  • 確約書
  • 開設届
  • 指定・指名機関登録(変更)報告書
  • 整骨院の平面図と周辺図
  • 柔道整復師免許証の写し

労災保険の書類作成は、時間がかかる場合があります。

できるだけ早めに準備しておきましょう。

まとめ

整骨院を開業する流れや必要な届出などをご紹介しました。

多くの手順、申請書の提出が必要なので1つずつ丁寧に対応してください。

事業計画・資金計画をまずはしっかりと作成し、この先の道筋を決めて開業しましょう。