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関東学術大会 神奈川

関東学術大会 神奈川

2024年03月03日

本日は、日本柔道整復師会の関東学術大会・神奈川大会が川崎市にあるカルッツかわさきにて開催されました。

千葉県柔道整復師会からは代表で石橋 翔太会員が研究発表を行いました。

関東学術大会とは

関東各県が毎年一回ずつ担当の持ち回りで、代表講演会と各県代表一名ずつの学術発表大会を行う日本柔道整復師会の行事です。

今年は神奈川大会ということで川崎市のカルッツかわさきでの開催です。

開会セレモニー

大会冒頭で菅義偉前首相からのビデオメッセージが紹介され、柔道整復師の業務に対する期待をコメントされました。

続いて、日本柔道整復師会の長尾会長が挨拶。

特別講演

今大会の特別講演は

演題「腰痛がある人が腰痛のない人になるいい話」と銘打ち

JA神奈川県厚生連伊勢原協同病院・病院長の鎌田 修博先生がご講演されました。

腰痛になる人の特徴をデータを用いて詳しく解説。

保存療法の有効性を認めつつ、どのような状態になったら手術を適用するのか、悪くなる前に検査をすることの大切さなどを分かりやすく解説。

脊柱の専門家として、椎体へのバルーン手術の適応と有効性、予後のよさなどを伝えると共に、柔道整復師が扱う患者さんの中に椎体の圧迫骨折が疑われる症例がある場合には適切な画像診断と手術の選択肢があることを推奨されていました。

ワークショップ

続いてのワークショップでは公益社団法人 日本柔道整復師会の学術部から山口登一郎先生、小野博道先生が講演。

日々の施術をいかにエビデンスを基に行うかが大切であるとコメントされました。

各県の会員発表

第一発表

演題「鎖骨骨折からのbikelife復帰」群馬県 樋口弘紀会員

鎖骨骨折において捻転により3分裂になり、遠位端に至っては粉砕骨折をしていた症例について、クラビクルバンドによる保存療法で治癒に導いた経過を紹介。

骨片転位が少なかったために保存療法を選択できたこと、きちんと固定を維持し続けることができたので回復できたことに言及されました。

第二発表

演題「水泡形成を呈した踵骨骨折の一症例」茨城県 青木竜也会員

冒頭、下腿以下の血行不良部位において骨折が発生するとき水泡形成が見られるメカニズムを紹介。

踵骨部の骨折で大きな水泡形成が認められる症例があったために経過などを紹介。

なるべく水泡を潰さないで処置を行なっていくことで柔道整復師の対応可能な症例であることに言及。また、水泡が潰れてしまった場合は医科との連携で感染症への配慮を行うことが重要であるという発表であった。

第三発表

演題「足関節捻挫の腫脹に対する厚紙副子と合成樹脂副子の優位性の検証」栃木県 長 秀和会員

足関節の捻挫時に厚紙副子で固定をするのが良いのか合成樹脂副子で固定するのが良いのか。

この疑問に対する検証を行った報告である。

各々の固定具にはメリットとデメリットが存在するが発表者は「厚紙副子の方が固定に優れている」との結論に至る。エビデンスなどは今後の更なる検証に譲ることになるが、厚紙副子の方が加工もしやすく固定力があることがその理由のようである。

第四発表

演題「肩関節脱臼骨折における施術経験と考察について」埼玉県 青木 実会員

肩関節の脱臼と肩甲骨の関節唇が骨折している脱臼骨折の施術症例を紹介。

通常は肩関節の脱臼があるとき、外力の働きにより骨折のリスクは減少するものですが、外力のかかり具合により関節唇の骨折を併発する可能性があることに言及。

転倒した際に、手を衝くことで肩関節脱臼を起こした症例をヒポクラテス法にて脱臼整復を行うも自動運動ができない状態が続き、上腕部に知覚麻痺が残るため、整形外科へ紹介すると、肩甲骨窩の骨折と腋窩神経麻痺が併発しているとの診断が下される。

医科との連携しつつ、後療法を行うことで日常生活動画を回復することが可能になり治癒へ導くことができた。

第五発表

演題「微弱振動治療についての考察」山梨県 大竹 駿会員

急性期の外傷疾患について手技療法が行えない場合において微弱振動刺激の施術が有効であると考え、術者の手の甲に振動する器具をはめて施術を試みた症例の報告である。

発表者の整骨院における10年の検証では、振動に伴う血行促進でのかゆみが出る症例についてはコールドスプレーなどで冷却などを併用すること。

効果的な振動時間は10分であったことが報告された。

第六発表

演題「エコー画像と身体所見から考察する学童期の投球における肘障害リスクについて」千葉県 石橋 翔太会員

学童期の投球時における肘の障害を内側、外側、後方の3つの型に分類。内側型の罹患率が多く進行すると選手生命を脅かすことがあると言及。

調査方法として、エコー画像による画像所見により3タイプに分類。

同時に身体所見チェックを15項目で設定し、エコー画像の所見と併せてデータを取ることによってエビデンスになるような報告を行った。

第七発表

演題「第5中足骨基部骨折(Jonse骨折)1症例のエコー画像とX線画像から見た治療過程の検討」神奈川県 小野 博道・森 倫範会員

第5中足骨基部骨折は足部の中でも多いことに触れ、骨折のタイプを3つに分類(結節部剥離骨折・Jonse骨折・近位骨幹部疲労骨折)

Jonse骨折の治癒過程は、骨幹部骨折の治癒過程と異なり、骨端部骨折の治癒過程と同様に進行することをエコー画像と医科のX線画像によって確認した症例である。

通常、骨幹部の骨折では教科書的には架橋(外骨膜側)を形成することで治癒していくと習っていますが、Jonse骨折の治癒においては、内骨膜側(骨髄側)より骨癒合が進むということが認められた。

以上の会員発表が行われ学びの多い一日となりました。