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【整骨院の開業】個人の開業と法人の開業の違いは?法人化とするメリットと合わせて紹介

【整骨院の開業】個人の開業と法人の開業の違いは?法人化とするメリットと合わせて紹介

2025年05月08日

整骨院を開業する際、多く方は個人での開業をイメージしているのではないでしょうか。

実際に、開業する方の多くは個人事業主として開業しています。

一方で、自院を法人化すると何か違いがあるのかと考えている方もいるでしょう。

法人での開業の場合、従業員を複数雇用して、事業規模を大きくする場合のステップとイメージされます。

ただ、色々と違いがあるので、今回は整骨院の開業で個人と法人の違いや、法人化のメリットついて紹介します。

整骨院の開業における個人・法人の違いとは

整骨院を開業するにあたって、個人と法人ではさまざまな違いがありますが、大きな違いは開業する際に必要な手続きや費用です。

個人での開業では、最寄りの税務署に開業届けを提出するだけですが、法人での開業は最寄りの税務署と管轄の地方自治体への届出が必要となります。

そのため、個人の場合は開業届に不備がなければ即日開業が可能です。

一方で、法人の場合は2箇所に届出をするため、数週間から数ヶ月程度必要になるケースもあります。

また、開業時に必要な費用にも違いがあり、個人の場合は書類提出自体に費用はほとんどかかりません。

万一、事業を廃止する場合も廃業届を提出するだけで済みます。

法人の場合は、登記申請や定款作成が必須なので10〜30万円程度費用が発生します。

万一、事業を廃止する場合も解散登記を行う必要があり、数十万円の費用が必要です。

このように、開業時・廃業時の費用や手続き方法が違います。

そのほかにも、税金や決算方法、人的コストにも違いがあるのでよく理解しておきましょう。

まず、人的コストですが個人の場合は開業する本人だけで手続きは完了します。

法人の場合は、発起人や取締役の他に株主の募集など多くの人が経営に関係してくる点が特徴です。

そのため、決算も確定申告をするだけの個人事業主とは違い、法人決済書の作成と申告が必要になります。

自身で用意しようとしても難しいため、税理士に依頼するケースがほとんどです。

収入に関しての税金も違い、個人事業主は所得税ですが、法人は法人税です。

所得税の場合は、累進課税なので所得によって税額は増減しますが、法人税の税額は一律で、その点は法人のメリットといえます。

整骨院を法人化するメリット

個人事業主として整骨院を経営する場合、開業のハードルも低く済む点はメリットですが、所得によって税額が変動するため負担が大きくなるデメリットもあります。

そのため、法人として開業するもしくは個人での経営から法人化をしようか迷っている方も多いのではないでしょうか。

以下では、法人化するメリットを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

社会的信用が高い

法人の場合は、社会的信用が高く、住宅ローンや融資の審査に比較的通りやすいという点がメリットです。

資金調達のハードルが少しでも下がることは、整骨院を開業する上で重要なので大きな魅力といえます。

金融機関によっては、個人事業主との取引はNGというケースもあるので、自院がどのような運営をしたいのかによっても違いがあるでしょう。

ただし、経営者個人の住宅ローンの場合は、法人だとしても代表者の資金繰りや経営状況も審査ポイントになります。

そのため、ローンや融資の審査が簡単に通ると思うのはNGです。

経費の範囲が広い

整骨院を法人化した場合、経費にできる項目の範囲が個人事業主よりも広い点がメリットといえます。

経費の取り扱いについては、個人事業主と法人で大きな違いがあるのでよく理解しておきましょう

大きく分けて、以下のような違いがあります。

個人事業主法人
給与収入金額から経費を引いた金額が事業所得になる。代表者の所得税の負担が大きくなる恐れ。経営者でも法人から給与として受け取ることになる。個人の所得税を抑えられる。
生命保険料生命保険料控除として年間12万円を上限に所得控除が可能法人で経営者の生命保険を契約した場合、生命保険料を一定の割合で経費にできる
居住用の住宅居住用の物件の賃料は、経費計上不可法人名義で役員の居住用の物件を借りた場合は、賃料を一定の割合で経費計上可能

個人事業主の場合、居住用の住宅について経費計上はできませんが、自宅での開業の場合は事業スペースの賃料のみが経費対象です。

そのため、法人の方が経費計上できる項目や金額も多い点は、大きなメリットといえるでしょう。

税負担の軽減がしやすい

法人の場合、自分や家族の収入を法人からの給与として受け取ることになるので、所得税額を軽減できます。

個人事業主の場合、確定申告をするだけで簡単ですが、家族への給与を経費として扱うためには、別途税務署に青色事業専従者給与に関する届出書を提出しなければいけません。

事前に届け出る必要があるため、手間と時間がかかるでしょう。

法人であれば、税務署への届出は必要ないので節税対策の自由度が高くなります。

赤字でも住民税が発生する点はデメリット

法人化の大きなデメリットは、赤字でも法人住民税の支払いが発生する点です。

個人事業主の場合は、経営が赤字になると課税対象となる事業主本人の所得金額がないので、所得税・住民税の支払いはなくなります。

しかし、法人経営の場合は整骨院という法人格に対して住民税が必要です。

法人住民税は、資本金などをもとにして一律課税されるため、例え赤字経営だとしても住民税の支払いは免除されません。

小規模な法人だとしても、法人都道府県民税均等割で2万円程度、法人市町村民税均等割で5万円程度必要です。

合わせて年間7万円程度は必要だと念頭に入れた上で、法人化を検討しましょう。

個人開業の人が法人化するタイミング

個人で開業した人が、法人化するタイミングはわかりやすくいうと年収や売上です。

個人事業主の税額は、累進課税方式なので年収が増えれば増えるだけ税負担がかかるといえます。

一般的に累進課税方式の場合、年収600万円を超えてくるあたりで税負担が多くなると考えられています。

個人事業主の場合は、家族構成などによって年収から控除される額が異なるため、不安な場合は税理士などに相談しましょう。

また、売上が1,000万円を超えた場合に課税事業者になるので、法人化するとより売上を生み出すために使用した経費を正しく計上できます。

その他にも、従業員の人数や自院の経営方針といった長期的なビジョンに合わせて法人化するというのも1つの目安です。

単純な収入の増減で決めてしまわないようにしましょう。

まとめ

今回は、整骨院を個人・法人でそれぞれ開業する違いや法人化のメリットについて紹介しました。

税負担や開業にかかる手続き、費用など違いがさまざまあります。

そのため、最初から法人として開業するよりも個人事業主として開業した後、法人化するケースが一般的です。

今回紹介したタイミングを参考にしていただき、よく検討しましょう。